■ソース
http://punta.jp/archives/5008
■概略
子どものスポーツとスポンサーの関係
米国4大プロスポーツ=メジャーリーグ(MLB)、バスケ(NBA)、アメフト(NFL)、
アイスホッケー(NHL)では、親会社や企業名を名乗っていない。
ユニフォームにもスポンサー名は入っていない。
日本のプロ野球では胸に大きく企業名が入ったユニフォームを着用しているが、
これと比較して、米国のメジャーリーグをはじめとするプロスポーツは、
企業ではなく地域住民が「所有している」という意識が強いためと解釈されている。
ところが米国でもユース(子供)・スポーツとなると話は別。
野球リトル・リーグではユニフォーム、帽子、フェンス、ボードにスポンサー名を掲げられる。
但し、酒やたば等はNG。支援企業がチーム編成や采配に関わることは禁止。
又、リトル・リーグ・ワールドシリーズは例外で、スポンサー名入りユニフォームはNG。
子供スポーツのスポンサーは、青少年育成、地域還元という意味合いが強い。
しかし、その一方でビジネスとしても捉えられている。
家庭で1人の子供が野球をしている場合も、祖父母も含めた家族総出で応援する事が多く、
家族の誰かがスポンサーである飲食店やスーパーマーケットを利用する事に繋がるから。
カナダと米国であわせて3500店舗以上を持つドーナツ店『ティム・ホートンズ』は、
同社のひと口サイズのドーナツ『ティム・ビッツ』に由来する子供のスポーツプログラムに
年間300万ドル(約2億4000万円)をつぎ込んでいる。
特にアイスホッケーを初体験する幼児〜8歳までのプログラムは有名で、
NHLスター選手、シドニー・クロスビーも出身者だ。
参加者には胸に『ティム・ホートンズ』と背中に『ティム・ビッツ』とプリントされた
ジャージーが支給され、そのジャージーを来てドーナツ店に行くと飲み物がプレゼント。
幼児は店まで行けないこともあり、付添いの親がドーナツやコーヒーを購入する期待も。
今や子供スポーツ大会にも冠スポンサーがつく時代。
子供スポーツは家族ぐるみで関わるものとなっていて、市場も拡大されている。
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日本のキッズスポーツ環境とはちょっと違いますが、
大事な事は、
記事にも記載されている『キッズスポーツでもビジネスとして捉えている』という点。
日本でキッズスポーツにスポンサー付けを行おうとすると、
社会貢献活動の延長として交渉する方(特にそのクラブ関係者)が多い。
見た目は正しい手法だが、
厳しい見方で企業視点で言えば、「お涙頂戴型・交渉」という側面も持っている。
挙句の果てには、それ協賛でなくて、寄付でしょ?という話になってしまう。
社会貢献活動の一環のみで御願いします、と依頼を掛けたら、
その効果を実証説明する事は難しい。
世界TOPのCSRリサーチ機関や格付け機関でも、まだ算出方法ができていないはず。
(「はず」というのは、スポーツ系よりシビアな人権系・福祉系などでも聞いた事がないから)
つまり企業は、善意だけのモノサシで、交渉事を認可するかどうか稟議する事になる。
確かに日本でも、社会貢献部、CSR部が常識的になってきたので(大企業の場合)、
部門担当者がその意義を追求して判断し、経営者が可否決裁する時代になった。
しかしながら、社会貢献活動は、一方的な善意だけではなく、CSR全体の1つという
認識のグローバルスタンダードに飲み込まれているので、CSRの効果を求める時代。
(業績反映や株価影響を含めて、上場企業、又、格付けインデックスに採用された企業程、
それらを追求しなくては、経営者決裁も降りないであろう。)
話を元に戻すと、
キッズ協賛(寄付ではなく、あくまで協賛)を企業に依頼する場合、
これまでは、地域密着・青少年育成等の大義名分を押すだけで、
一社会貢献活動という面から支援金(結果的に協賛でなく寄付に成る場合も多い)を得る
ケースがあったのだが、
これからの時代は、それらだけでは不十分。
USAのようなビジネスモノサシによるリターンを提示できなくては、通用しない世界が広まる。
キッズスポーツに限らず、シニアスポーツでさえも、
企画書に、「社会貢献要素だけではなく、サンプリング等のビジネスメリットもあります」と、
取って付けたようなセールス文章を記載しているケースを良く見るのだが、
作成者にその詳細を求めると、全く返答できないケースが多い。
「決まったらやります」
「それは以降の相談で・・・」
確かにその時点で細かく決められないかもしれないが、
という事は、スポンサーメリットをビジネス視点で予測計算していないという事になる。
という事は、提示額が価格不相応という確率が非常に大きくなる。
という事は、協賛を求めていながら、実際は寄付を求めている。
という事は、この件でのリターンが全く保障されない。
という事は、成約確率が低い。
・・・・・・こういった流れになる。
故に、言いたい事は、
キッズスポーツでさえも、キチンとしたビジネス面でのリターンを提示できなくてはいけない、
という事であり、それができれば成約率が上がるという事。
キッズの胸にロゴを貼って、一体いくらの広告換算額になるのか?
(キッズの胸ロゴなんて、スポンサーメリットのオマケに過ぎない)
それだけで、依頼額換算に届かなければ、他メリットはどのくらいの価格換算になるのか?
又、どれだけの2次3時リーチになるのか?
こういった事がシャープに刺されば、
キッズスポーツに投資する企業はいくらでもある。
私の周りでは、
間違ってもいいからスポンサーメリット効果額を算出して企業に提示せよと伝えています。
勿論、子供はそんな計算ができないから、両親に指示する訳ですが、
1つ1つ教えれば簡易計算位、未経験者でもできる。
(大学生選手くらいなら、例題を見せれば全部作成してくる位だから)
広告代理店やリサーチ会社のような詳細で明確な計算なんていらない。
アスリート、又は親という、そういった面ではド素人が作るものだから正確性に欠ける。
しかし、それを算出しようとする誠意は企業に伝わる。
そのメリット換算額を見た企業担当者は、
「実際にはこういう計算になりませんけどね・・・」等とは言いながら、
他選手の「お涙頂戴型・Push型・懇願型・詐欺型」との違いは認めてくれるでしょうね。
企業は、スポーツに限らず、そういう懇願をイヤという程に受けていますから、
大企業程にお涙頂戴型は通用しないと認識した方がいいです。
(多くの大企業は、それ対策を実行しているくらいですからね。詳細は言えないけど。)
ですから、換算額に限らず、
とにかく、企業メリット=スポンサーメリットであるビジネス面のプラス効果を、
シニアは勿論、キッズスポーツでも提示できなくてはいけない。
それができれば、戦績界でも超マイナー競技でもアマ選手でもキッズでも
スポンサー獲得率が大幅に上がる。
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ちなみに、「社会貢献の一環」のみで、寄付金を依頼する場合、
大企業程に多くの支援テーマを持っていますから、それはそれは大変。
「青少年育成の一環でサッカークラブに寄付100万御願いします」という依頼は、
環境系NPOが提示する「植林活動100万」や
人権系NGOが提示する「飢餓の幼児支援100万」や「地雷除去支援100万」等と、
ぶつかる事になります。
どれが正しいとかのレベルではなく、各企業は関わる理由を熟考しますから、
企業の思想や姿勢PR、又、上記のようなビジネスメリットを考えるのが本音。
「資金難で潰れそうだから、メリットなんて言う前にお金下さい!」的な交渉が一番ダメ。
お金を出す側の視点に立っていない。
又、金が絡む限り、それは甘い、と言わざるを得ない。
(それなら街頭募金をした方が早いかもしれない?)
社会貢献活動の一環で・・・と押すのなら、
社会貢献と企業の関係をプロレベルで説明できないとね。
だからこそ、キッズ投資交渉と言えども、ビジネス性を持った交渉をする方が、
結果的に、成約に届くまでのスピードが早いはず。
(騙されたと思って実験してみて下さい。絶対、後で判るから(笑))
ちなみにちなみに、キッズのクラブ(団体)でも個人でも上記の交渉法は全く同じ。
どうしても、ビジネスに繋げるには団体の方が有利だけど、個人でも大丈夫。
人数で負けている点は、他でカバーできる。