■概略
「遠征費が払えない」悲惨なマイナー競技アスリートたち
6年後の東京五輪を見据え、JOCは有望選手の就職活動支援に本腰を入れ始めている。
遠征費が工面できず、現役続行をあきらめる有望選手も少なくないためだ。
・・・これまでJOCは大企業に雇用や支援を呼びかけてきたが、今後は中小企業へ乗り出す。
マイナー競技選手を雇用し、勤務体系にも配慮して競技生活を後押しする企業も現れ始めた。
◆金の切れ目が…
・・・そのうえで「苦しい状況にあるのは個人競技の選手。月曜から金曜までフルで働きながら
競技をやれるのはまれで、アルバイトをしながら自分でスポンサーを見つけたり、
親に費用を負担してもらいながら続けている人がほとんどです」と実情を明かす。
フェンシングやカヌー、レスリングなどをはじめ、長距離や駅伝以外の陸上競技の選手の
多くが、こうした苦境に陥っている。
八田氏は「有望視されても、『社会人になってまで親に甘えることはできない』という理由で、
大学卒業を機に引退する選手は多い」と悔やむ。
◆就活支援で進む雇用
選手たちを金銭的に追い詰めるのは、主に遠征の交通費や宿泊費だ。
冬スポーツは年間400万円近くかかるが、夏スポーツでも年間100〜200万円程度。
安定収入が得られない選手は、競技続行をあきらめざるを得なくなる。
そこでJOCは、企業に選手を雇用してもらう「アスナビ」を始めた。
雇用を通じて、選手の競技生活の安定化をはかるのが狙いだ。
5月27日には、日本経済団体連合会の協力を得た初の説明会を開いた。
この場で竹田恆和JOC会長は「日本のアスリートが世界のアスリートと真剣に戦う姿は、
国民、特に若い方々に感動や活力を与える大きな力を持っている。
ぜひとも皆さんにご支援いただきたく、心からお願い申し上げます」と熱く協力を呼びかけた。
こうした結果、5月末時点で、選手33人が計25社に正社員または契約社員として採用された。
の企業は、選手たちの練習時間に配慮。一般社員と同じ月額20万円程度の給与を支払い、
遠征費の全額または大半を負担している。
「実業団チームを維持するのに比べれば、会社の費用負担は限定的」と八田氏はメリット強調。
◆入社効果で全国優勝
こうしたJOC支援とは別に、今年度、初めて独自に選手たちを正社員として受け入れて支援に
乗り出した会社がある。大阪市西区の情報通信サービス会社「ミライト・テクノロジーズ」だ。
今年4月、陸上の女子走り高跳びで国内屈指の実力・渡辺有希選手(25)を正社員で迎えた。
渡辺選手は関西大に在学中、日本学生陸上競技対校選手権などで数々の全国優勝を誇る。
卒業後、2年間は国体選手として岐阜県体育協会のスポーツ専門指導員に、
さらに昨年度は1年間限定で大阪府豊中市の臨時職員に就いた。
この間、練習時間は確保できたものの、遠征費が家計を圧迫し、競技続行には不安があった。
応援してもらえる会社を探してアピールを続けた結果、その窮状がスポーツ振興に理解がある
同社幹部の耳に入り、採用が決まった。
採用理由について、「若い人に自分を磨く機会を与えることは、企業として大事だ」と話す。
実業団のように単に企業の宣伝、広告を目的とせず、引退後も正社員として働き続けてもらう。
勤務時間は9時〜5時。残業はなく、6時半から母校関西大で2時間程のトレーニングをこなす。
大会前などは、仕事時間を短縮するなどの配慮が約束されている。
◆バイト代は遠征費に…
ミライト・テクノロジーズは6月、2人目を正社員に迎えた。女子三段跳びの山根愛以(25)。
大学卒業後は練習時間を確保するため就職せず、時間の融通が利くアパレル店員や
歯科助手など時給900円程度のアルバイトを転々としていた。
実家に住んで生活費は家族の世話になっていたが、
年間100万円弱のバイト収入は、すべて大会出場の遠征費に消えていた。
「競技成績が上がるにつれて負担もかさんで将来不安になり、この先は趣味程度に」と
あきらめかけていた矢先、渡辺さんの紹介でミライト・テクノロジーズへの入社が決まった。
◆「幟(のぼり)1本立つだけで」
渡辺、山根両選手が就職で得たのは、費用面だけでない。
八田氏も「社員となったアスリートが異口同音に口にするのは、会社が応援してくれる喜び。
マイナースポーツでは特に、応援の幟が1本立つだけでも選手にとっては大きな力」と話す。
一方、支援する企業側にも、応援を通じて社員の楽しみや一体感が生まれる効果があり、
児玉専務は「活躍するほど費用はかかるが、それは会社にとってうれしい悲鳴」と笑う。
日本の経営者たちに、八田氏は訴えかける。
「アスリートを社員に迎える企業を増やすことは、五輪のメダル数に直結する大事な要素」
(川西健士郎)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
美しい記事だなあ(笑)
しかし、「スポーツ(アスリート)の発展」という点では、ちょっとズレていますよ。
産経新聞・川西さん、運動部の方でしょうか、
御連絡下さい。
(fbとtwitterで御本人を探しましたが、見つからない為、運動部の方に聞いてみるか・・・)
スポーツ界自ら、もっと厳しく状況を見つめて、
マクロ対策をしないと、セカンドキャリア問題は永遠に解決しません。
確かに、できる事からやるしかない。
しかしながら、着地を見据えた、
真にスポーツの為になる、真にアスリートの為になる、セカンドキャリア支援とは・・・・を
追求しなけらばならない。
- 怪我を抱えたまま試合に臨む選手は最大90%、格闘技王者10名による怪我痛み極小化..
- フリ―ダイビング日本代表・岡本美鈴、継続的な海洋保全活動支援を行うスイス機械式時..
- 日本代表選手4名が、筋肉リカバリー用の炭酸ボディケアクリーム「diremotio..
- ダンススポーツ日本代表で、世界ランカーの吉川あみ&TudorAndreiペアとマ..
- スポーツはどこへ行く?スポーツビジネス市場規模2025年¥15兆目標は実現するの..
- NFの補助金・助成金不正は、今のままでは半永久的に無くならない。それを壊すには?..
- 銀行不要のBankless概念の元、web3活用の仮想通貨による新しい資金調達「..
- SelfHackプロジェクトにて鰍ヘぴテックと業務提携、幸福度診断を開始
- 作家・乙武洋匡氏が、「健康経営からウェルビーイング経営へのシフト」をサポートする..
- クラウドファンディングという資金調達法の光(正義)と闇(悪)、お金の大事さが薄れ..