http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120217-00000028-zdn_mkt-ind
■概略
1960年代に日本に入ってきたボウリングは、中山律子を始めとするアイドル的
人気女性ボウラー出現もあって国民的人気スポーツになったものの、急速に低迷。
最盛期3600カ所も、今では日本全国で923カ所にまで減少、年平均10カ所で閉鎖。
※ボウリング参加人口の推移
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1202/17/news010.html
●このままでは衰亡しかねない厳しい業界環境
「レジャー白書によると、2009〜2010年の1年間だけで、日本のボウリング人口は
2210万人から1780万人に落ち込み。この勢いで減り続けたら、業界は衰亡。
顧客層は、常連客の“競技ボウラー”と、レジャーの“一般ボウラー”に大別される。
特に一般ボウラーの減少が著しく、競技ボウラーも来場頻度が徐々に低下。
首都圏ボウリング場は比較的善戦していますが、地方都市は、経営的に厳しい状況」
日本のボウリング業界は、ラウンドワンがマーケットシェア30%以上(売上ベース)を
占める一方、残り70%弱を全国の中小規模ボウリング場が分け合う構造。
テレビCMなどメディア活用しているラウンドワンは、売上の9割を一般ボウラーが
占めているが、他の地域密着型の中小ボウリング場は売上の半分以上が競技ボウラー。
「1センター当たり100人の常連客がいると仮定すると、全国900センターから、
日本全国の常連客は約9万人。つまり、日本全国に約1800万人いるボウラーの中の、
たった0.5%の顧客が中小ボウリング場の売上の半数を占めているという構造。
しかも、0.5%の常連の来場頻度も低下・・・構造を変革し、サバイバルを図る事が課題。
●新規顧客開拓に効果的な意外な方策とは?
「新規顧客開拓(一見客数の拡大)」とその「定着化(常連化)」という2段階に分けて考える。
第1段階としての新規顧客開拓に関しては、レトロでアナログな2つの手法が効果的。
「1つ目は、館内がキレイでデザイン性が高まっていくのに正比例して、客数が増えた。
2つ目は、割引券ポスティング。半年間12万枚の結果、毎月1500人来館(95%新規)。」
●カギを握るのは、新規顧客の定着化
常連客とスタッフは付き合いの長さを反映して会話も多く、店の雰囲気に影響を与える。
しかしそれが行き過ぎると、常連客には笑顔を振りまくが、一見客には笑顔もなければ
声もかけないという明確な“差別待遇”が顕在化する。
一見客は、疎外感を味わい店をあとにし、2度と来ないし、その不快さを多数に伝える。
●「檻から出ろ」と言っても出にくい現実
“待つ商売からの脱却”・・・お客さんに対するホスピタリティ・レベルを上げていくべき時代。
ところが大多数のボウリング場はS40年代に作られたもので、経営者や正社員も高齢化し、
現代の経営環境に即したやり方に自らを変えていくことが難しい。
長期不況下にあっては、どうしても売上中心の競技ボウラーにばかり目が行きがちになる。
●日本のボウリング業界に明日はあるのか?
5年、10年という中長期的に、日本のボウリング業界はどういう方策を採るべき?
日本ボウリング場協会として、中長期計画を進めているのがジュニア層の開拓・育成。
「全国47都道府県に5〜15歳を対象にしたジュニア・クラブを創設し、
まずはレジャーとしてボウリングに親しんでもらい、やがては選手として育成」
ジュニア対象だと、両親はもとより祖父母まで巻き込むことが可能で、
それはファストフードのマーケティングなどでもお馴染みの手法。
ボウリングが人気スポーツだった頃、中山律子など女子プロボウラーが日本中の人気。
その再現を狙って、業界は20代女性プロボウラー「P★League」をBS等でレギュラー放映。
全国の競技ボウラーの人気を集めているが、一般生活者からの注目度は十分と言えない。
「なでしこジャパンを例に、世界に通用する女性アスリートが国民的人気を博しますし、
そうしたアスリート出現こそがそのスポーツの人気を高める。ジュニア層育成を通じて、
そうした世界のトップを競える女性ボウラーが出現することを期待しています」
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スポーツという点でも、施設集客・マーケティングという点でも面白い記事。
確かに、ボウリングに行く人は減った感がある。
カラオケや携帯やマックなど、競技ライバルではなく、
間接的なライバル達の台頭も影響しているのでしょう。
人口推移のグラフが、1998年からだが、この前が重要。
98年からの部分を見ても、マクロな全体考察はできない。
集客数でも商品販売数でも関係人口でも何でも、
プロダクト・ライフサイクルや企業の寿命などのデータは、意外と似通う。
それは、スポーツでも言える事なのかもしれない。
ボウリングという競技自体は歴史あるものなので、根本は変えられないが、
ボウリングに限らず、競技人気の作り方・維持・発展から、
降下に入った時の対処法は、ビジネスの方が進んでいる。
だからといって、
アートやスポーツ(芸能は別)がそんなに簡単でないのは判っているが、
ただ、対処を思考錯誤する点は、もっとビジネス界を手本にした方がいい。
何事でも、変革を成功させるカギは、現場の変革者の意識だ。
危機感無しに事は始まらない。
まあもうちょっと後でいいか、という考えが命取りになった事例を色々見てきた。
だから、明日ではなく、今日から大変革するという意識が、
責任者もしくは担当者にあるか無いか、yes or no、all or nothingの世界。
変わったらいいな、との想いでは変わらない。
今すぐ変えなければならない、との想いが無ければ変わらない。
関係者が多い世界程、上下関係が強い程、悪い意味でアマチュアな思考程、
変革ができない、というか、口だけ変革で実際は変革を拒む派が多いのも事実。
変革って、口で言うほど簡単ではないが、
やらにゃあ始まらない。
過去に、借金してでも明日変革する、と言い切った人がいる。
自分の立場より、全体を考えて変えたい、と言った人がいる。
リスペクトする。
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競技普及と(大会)集客という点で、ボウリングに限らない課題とも言える。
スポーツを知らない、いわゆるマーケッター等がコンサルに入れば、
レストラン集客やディズニー集客等を事例に、ファン作りから入るであろう。
マーケティングを知らないスポーツ系コンサルが入れば、
あくまでもボウリングを普及させる事に注力するはず。
税務系の経営コンサルが入れば、プラス収益発想は出ないから、
とにかくコストダウンのリストラ策のオンパレードになる。
一応、前述2つをかじってる立場から言えば、その3つは同時進行であり、
うまく交差させなくてはならないし、
メディアを使った空中戦も必要だし、
ポスティング営業などのドブ板地上戦も必須だ。
まあ、それらは予算があれば一気に推し進める方が最大効果を出しやすいが、
多くの企業が小予算からスタート、という事になるだろうから、
実施項目のプライオリティや、項目ごとの予算配分がキーとなる。
外部コンサルは推奨はできるが、決裁決定はできない立場にあるので、
内部実行者の嗅覚や危機意識がその結果を左右することとなる。
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ボウリング場・ゴルフ場・トレーニングジム・・・
スポーツ施設は箱を所有するので、箱代を回収する支出ベースがあるので大変だ。
スポーツ施設なら、とかく、スポーツ好きな経営陣で固まる事が多いので、
いかに外部者を取り入れるか、いかに専門家を使うか、という事になりますよね。
とにかく内部意見だけで推し進める方針を持っているところもあるし(外部員却下)、
あちこちから色々な意見を取り入れ過ぎて、結局うまくいっていない例もあるし、
変革意識があっても、成果を出せないケースも過去に色々見てきました。
その判断は、例え現場担当者の意見であろうと、その会社全体の判断と見なされるので、
CEOが知らなかったでは済まされない・・・変革とは、小さな変化うの積み重ねが
大きなうねりになる場合もあるから、現場の変革心は重要。
これは施設の話に留まらない。
マイナー競技の普及策に関しても、全く同じ事が言える。
いつかメジャーになればいいな、という想いでは絶対にメジャーにならない。
誰かがやるだろう、という意識が多い組織に、変革は生まれない。
協会・連盟の責任にしているだけだと、事が進まない。
小さな動きの積み重ねも大事だが、スポットで大きな動きを入れなければならない。
うちのキーワードの1つに「変革」という言葉があるので、いつ何時でもこれを追求したい。
様々な案件は勿論だが、
近い将来、競技全体に変革を仕掛けるつもり。
(2、3の競技をターゲットにしているがまだ言えない)
まだ時間がかかるけど、口だけとは言わせない為にも、実行する。
やるからには当然成功を目指して行く。
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