■ソース
http://blogs.bizmakoto.jp/fcommons/entry/1448.html
http://blogs.bizmakoto.jp/fcommons/entry/1459.html
http://blogs.bizmakoto.jp/fcommons/entry/1462.html
http://blogs.bizmakoto.jp/fcommons/entry/1620.html
■概略
(F1は「走る広告塔」ではない (1) ― 「真っ白だが、大丈夫か?」)
・斜め45度から「常識」を疑おう
F1といえば「走る広告塔」・・・1950年から始まったF1が、走る広告塔に
なったのは、1968年。以来40年間、広告ビジネスの伝統を守ってきました。
・F1が「走る広告塔」である時代は終わりつつある?
様々なロゴは格好いいが、そんな広告モデルで21世紀に続くか?
実際、F1の世界にはその常識を「外れる」試みが現れてきています。
例えば、2010年に小林可夢偉選手が乗った「BMWザウバー」のマシン。
見事に真っ白でスポンサーロゴが見当たりませんが、最も目立つ場所に、
「C」と「1」を組み合わせたシンボルマークが。
・「C1」はスポンサーロゴではない
「C1」はスポンサーロゴではなく、「ザウバークラブ1(Sauber Club One)」。
BMWザウバーチームが運営する会員制組織のロゴマーク。
車体が白いままだと世間体がよくないから自前ロゴを・・・というレベルの
話ではないんです。その真の可能性は?どんなビジネスモデル?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(F1は「走る広告塔」ではない (2) ― 「大丈夫だ、問題ない。」)
・『ザウバークラブ1』の正体とは?
「C1(ザウバークラブ1)」は「会員制クラブ」で、対象は個人ではなく企業。
会員になると「F1をビジネスのプラットフォームとして使う」ことができます。
スイス・ザウバー施設を利用したり、GPごとに関係者エリアに入場できる
ようになります。そして注目すべきは、
「自社ブランドを公にすることなくF1に参加することができます」と。
投資した会員企業が「自社ブランドを公に」しないメリット?
・まっとうな答え=F1をネットワーク作りの場として提供するビジネス
1つ目の答えは、「C1」はF1を社交の場として転用する方法。
会員はF1の現場にゲストを招いて、セレブリティの空間で接待や商談を
して下さい・・・別に「広告塔」に使ってもらう必要はないという発想の転換。
チーム代表は、、、「近年、マーケティングのプラットフォームとしてのF1は
変化してきました。かつて商品認知度を高めるためにF1の世界的な視聴者数
を用いていました。しかし今日では、ビジネス取引やネットワーク作りの手段も
提供しているんです」。
つまり「C1」企業は「F1で自社製品をアピールしたい」とか、「F1を見ている
顧客層に自社ブランドを定着させたい」といった企業とは異なります。
ネットワーク作り、或いは、商談相手に自分たちを「すごく」見せる為に活用・・・
・斜め45度な答え=ザウバーチームの「撒き餌」ビジネス
2つ目の答えは、「C1」は潜在的にF1に関心を持つ企業を集める「撒き餌」。
BMWザウバーチームは、「C1」会員企業に対して、低価格で、「使った分だけ
後払い」的な感覚で、施設利用を許可し、F1関係者用の入場パスを発給。
超低コストでF1に関わるチャンスを企業に提供するということ。
なかには「F1を気に入った」「広告掲載したい」と思う会員がいるかもしれない。
そこに営業をかければ良いのです。
・「そんな真っ白な車体で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」
「C1」は、広告を請け負うことなく、複数企業から広く浅くお金を集める新しい
F1ビジネスの形。一つ目の答えも、二つ目の答えも、これまではF1と関わり
を持ってこなかった企業を引き込む方法として機能していることがわかります。
近年の世界不況で、大口スポンサーは減少する一方。
そのような状況下でビジネスを続ける為、ザウバーチームは「C1」を利用。
これはなかなかしたたかな戦略だったと言えるのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(F1は「走る広告塔」ではない (3) ― ホンダF1の「走るアオカビ」を再評価する)
・「ザウバークラブ1」で思い出したホンダF1の最期
2007年ホンダF1チームの「アースドリーム(Earthdreams)」コンセプトは、
「C1」に似ていたんじゃないかなあ?地球の姿がプリントされたホンダ。
どちらもスポンサーロゴが掲載されていないという点では同じです。
アースドリームは、単年270億円の赤字を垂れ流す原因と伝えられています。
・「アースドリーム」はどのように評価されたか
当時アースドリームは、ホンダの環境保護メッセージ発信と発表され、
「目的は、世界的F1を利用して、世界中の人々の環境問題に対する関心を集め、
環境問題に関する議論を巻き起こすことだ」と。
しかし、議論は「環境は大丈夫か?」ではなく「ホンダは大丈夫か?」でした。
しかしながら、あの地球色には、新しいビジネスチャンスがあったはずです。
「C1」も「アースドリーム」も計画発案と実行という面でよく似ています。
「C1」は、フランスの広告代理店ピュブリシスが発案。「アースドリーム」は、
USAマーケティング会社ブリッツ。どちらも、F1の「新しい」ビジネス上の試み。
アースドリームは、あまりにも早すぎた取り組みの一つ・・・として、
再評価することができるのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
F1は「走る広告塔」ではない (4) ― 塗りつぶしてみるとわかること
新規&中堅チームは、自社、あるいは自社関連企業のロゴを掲載するために
F1運営・・・つまり、外部の資本関係のない企業からの資金調達を得られていない。
対して、フェラーリやマクラーレンなど老舗チームは外部から資金調達で運営。
昔ながらの「走る広告塔」が成立しているのは、上位3-4チーム。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
非常に面白い見解の記事だったので、チェックさせて頂きました。
というのも、
これまでレーサー(ライダー)の企画書を何百冊と見てきましたが、
殆どの選手が、自分のマシンは「走る広告塔です!」と謳っているんですよね。
どの位の広告露出効果なの?と問うと、答えられる選手がいないのですが、
(誰も教えてくれないので、判る訳ないですよね・・・とも言えますが)
上記記事からも判るように、
F1というTOPカテゴリーでさえ、広告メディア効果・全盛期のビジネスモデルが
成立しなくなっている・・・
であれば、アマチュアレーサーやボトムカテゴリーなら、
尚更、広告効果の訴求で、スポンサー企業は獲得できない事になりますよね。
F1という高額スポンサーシップが常識という中で、
「C1」は、低額会員制という新たな風穴を開けたのかもしれません・・・
しかしながら、
これって、見せ方として格好いい手法のようにも思えますが、
アマチュア選手って、嫌が上にも、この仕組みの原点がありますよね。
そう、後援会です。
小口ミニスポンサーを募り、そのミニスポンサー同士はオフ会イベントで
ネットワークを築ける・・・アマ選手が打ち出せるスポンサーメリットの1つです。
元々、メディアに露出されないアマ選手は広告塔を機能させる事ができない。
であれば、企業の他効果を考え、
その効果の1つに、ミニスポンサー同士を引き合わせる・・・
こういう時代だからこそ、大口ドカンを狙うのではなく、
小口でも浅く広く資金調達する・・・
原点を辿れば、アマチュア選手が深く詰めて、自分のモノにすべき手法です。
小口の中から大口を生む発想など、
アマ選手の為に、まさしくアスリートエールでシステム化してます(笑)
アスリートカレッジで毎回説明しています(笑)
確かにアマ選手はF1のようなバックステージでの貴族仲介やVIP紹介等、
セレブチックな真似をできませんが、
資金調達の最もベースの考え方は全く同じ。
アースドリームは、そこに環境というキーワードを加えた形。
発想は間違っていなかったはず。
結果的に調達額が大きく減ったが、上場企業程に、環境コミュニケーションは、
広告費なの?販促費なの?CSR関連費なの?といった事もあるはず。
当時(今もそうだけど)、
広告費・販促費を扱う宣伝部やマーケティング部には大きな予算があるのに、
社会貢献費やCSR関連費など、社会環境コストを扱うCSR部の財布は
非常に小さかったという状況で、
経営戦略面、広告面、環境面で、色々な想い違いも発生していたはず。
アースドリーム自体は高く評価していました。
(但し、資金の一部をどこかに寄付する・・・この点だけは、大のホンダさんが
やるべきことじゃないでしょと。上場企業のエコブランディングは、寄付して
終わりではなく、アクションが全てでしょという観点から、微妙に見ていました。
欧州マツダのデミオのように、CO2カーボンオフセットなどの実際の
アクションに結び付けるべきだった。それが、イメージブランディングのみで、
アクションは寄付するからやっといて的に映ったものだから、
NPO系の人々から、フェイク・マーケティングと言われてしまう・・・
ホンダさんには失礼ですが、コンセプトメイキングが凄くいいものだったので、
その期待に対して、出口にガッカリしたのは事実です。
ただ、マクロに考えれば、あえて大金が入るかもしれない広告ロゴビジネスを
捨てて、世界中の視聴者に対するエコ意識改革にリーチをかけた点は、
非常に大きな時代的意義があります。ここまで自社の資金源ツールを、
金を生まない世界のエコ意識改革に投資できる企業は少ない・・・
とも言えるはず。)
話を元に戻すと、
確かにF1だからこそ可能な、
セレブ的、又、ビジネス的な新しい資金調達法の1つとも映る。
アマレーサーには関係ない事だよ・・・ではなくて、
ここからレーサー達が何を盗み、何を自分のものに会得するか、
その答えの1つが、この記事には埋まっています。
アメリカのスポンサーシップ・アクティベーション志向しかり、
欧州のビジネスマッチングや段階的ビジネス誘致策しかり、
広告露出効果以外のスポンサーメリットを提示できないと、
スポーツが成立しなくなってきている・・・という事実を、F1からも読む事ができる。
日本のプロ野球だってリスクヘッジが必要だし、
世界的人気のサッカーだって、いつどうなるかわからない。
こういう状況を見ると、
マイナー競技は、メジャー競技の10倍努力が必要だし、
アマチュア選手も、プロ選手に比較して、
頭を使ったスポンサー誘引を考える事が必須な時代。
でも大丈夫。
情報武装+創意工夫で、生き残る道はありますので。
- 怪我を抱えたまま試合に臨む選手は最大90%、格闘技王者10名による怪我痛み極小化..
- フリ―ダイビング日本代表・岡本美鈴、継続的な海洋保全活動支援を行うスイス機械式時..
- 日本代表選手4名が、筋肉リカバリー用の炭酸ボディケアクリーム「diremotio..
- ダンススポーツ日本代表で、世界ランカーの吉川あみ&TudorAndreiペアとマ..
- スポーツはどこへ行く?スポーツビジネス市場規模2025年¥15兆目標は実現するの..
- NFの補助金・助成金不正は、今のままでは半永久的に無くならない。それを壊すには?..
- 銀行不要のBankless概念の元、web3活用の仮想通貨による新しい資金調達「..
- SelfHackプロジェクトにて鰍ヘぴテックと業務提携、幸福度診断を開始
- 作家・乙武洋匡氏が、「健康経営からウェルビーイング経営へのシフト」をサポートする..
- クラウドファンディングという資金調達法の光(正義)と闇(悪)、お金の大事さが薄れ..