http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100730ddm035050044000c.html
■概略
インサイド:就活するメダリスト 競泳・松田丈志の苦悩/4
◇雇用支援、新たな動き
個人競技への支援の機運が高まらない中、選手のスポンサー探しは急成長企業に頼りがち。
だが、それは経営状況に左右されやすい。
松田丈志(26)が昨年支援を受けた大手不動産会社「レオパレス21」の例もそうだ。
予想外の経営悪化で、今年の決算は790億円損失となり、73年の創業以来最大の赤字。
同社は昨年末に松田の契約解除とともに強豪だった女子ソフトボール部も廃部に。
◇費用対効果を重視
「企業が求めるものは宣伝効果だが、スポーツは費用対効果が
数字で見えにくい。業績が悪くなるとカット対象になる」。
同社はJリーグ、日本水連とのスポンサー契約は継続。
Jリーグとは営業に結び付くサッカー教室の共催、水連はレオパレスがグアム島に持つ
リゾートホテルを代表合宿で定期利用するなど、投じた費用の見返りが十分に計算できる。
個人競技でもトップ選手の数が限られていれば、企業からの支援も集約できる。
競泳低迷期の88年ソウル五輪。背泳ぎ金メダル鈴木大地は、日本勢で72年以来の表彰台。
だが、その後日本勢は04年アテネで8、08年北京も5種目でメダルを奪った。
皮肉なことに、メダル量産で王国復活も、企業の視点からは、メダル個々の価値を下げた。
松田のスポンサー獲得難航に、鈴木は「日本選手の実力が上がった裏返し」とも言うが、
息が長くなったトップ選手の受け皿探しはさらに厳しさを増した。
選手支援が企業任せでは景気次第で松田のような「浪人生」は避けられない。
では、競技団体は個人選手に手を差し伸べる事はできないか。
北京五輪フェンシング銀メダル太田雄貴の例がある。日本フェンシング協会は五輪後の
支援企業探しへ積極的にかかわり、森永製菓の社員として活動を続ける道が開けた。
◇普及度に比例せず
それに対して、日本水泳連盟への登録団体は今年3月現在で5741(大学など学校を含む)。
水着一つで始められる親しみやすさから、競技団体の規模ははるかに大きい。
だが、その高い普及度が必ずしもトップ選手のプラスになっていない。
連盟の成り立ちには、1964年東京五輪を機に根付いたスイミングクラブの存在は欠かせない。
クラブ単位で成り立つ競泳界の構造上、1人の選手のために連盟が動きにくいのが現状だ。
松田について「大切な人材だが、所属の問題まで水連が面倒を見られない」との立場だ。
一方で、危機感を覚えたJOCで、選手の雇用支援へ新たな取り組みが動き始めてもいる。
JOCゴールドプラン委員会が手掛けるワン・カンパニー、ワン・アスリート構想。
この計画が軌道に乗るかは、松田のような選手にとっても大きな意味を持つ。
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「1カンパニー1アスリート」が普及したらいいですね、『雇用・協賛』という視点から。
発想としては、2000年頃に企画した、『寄付』という視点からの「1人(個人)1NPO」と同じ。
(NPO数が増える一方で、寄付収入の難しさから消滅するNPOをサポートする仕組みとして、
チームマイナス6%のような国民運動みたいな形で進めたかったが、保留となった。)
個人と法人、寄付と雇用・協賛では全く意味が違いますが、
雇用・協賛という考え方をベースに、アスリートを育成する運動であれば、広げてほしい。
既存TOP選手だけでなく、TOPに行けそうで行けない、あと1歩という選手を救うシステムなら、
是非、JOCに協力したい。
上記では、宣伝効果=広告露出効果のみでROI算出するような方向性が記載されているが、
メディア露出以外でも企業ニーズはありますから、TOP直前選手でも企業マッチングは可能で、
費用対効果は出せます。
現にレオパレスの場合は、Jリーグ・サッカー教室からの販促や、水連のホテル利用費誘引
(販路開拓)という方向から、投資満足を得ている訳ですし、
TOP未満選手でも、そのような構築は可能。
ここに、毎日新聞運動部記者・滝口隆司氏のコラムを見つけた。
「アスリートの「駆け込み寺」が必要だ(2010年5月21日) 」
滝口氏も「トップ選手だけが対象になるようなものでは困る、広告メリットが無く、
五輪に出られそうで出られないような準トップ層の選手を」と述べている。
全く同感。
松田選手はTOP選手。だから報道にも載りやすい。
ただ、準TOP層、準準TOP層、準準準TOP層まで蓋を開ければ、
とんでもない数の資金難選手がおり、
報道にも載らず、資金不足で競技を辞めていく選手が毎年発生している事実もあるのだから、
大規模なスポーツ界の手術も必要。
この、アマ選手の資金不足というのは、
不況などの時代背景ではなく、過去から今も続いている、スポーツ界の構造的欠陥。
地べたから改革する必要がある。
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