http://www.sankeibiz.jp/business/news/100222/bsd1002220501003-n1.htm
■概略
【スポーツ経営放談】帝京大経済学部教授・大坪正則
2009年の全国高校スキーから始まった、高校スポーツ大会でのゼッケン広告が
他の競技にも広がりつつある。09年の全国高校駅伝に続いて、10年夏の高校総体でも
8競技でゼッケン広告が導入される。将来はすべての競技で採用される予定だそうだ。
スポーツを教育の一環としてとらえる高校スポーツ界では、アマチュアリズムの名の下に、
商業主義的マーケティング手法の採用を排除してきた。
だが、スポーツはする人も見る人もお金がかかる。
更に底辺拡大の為の普及活動や振興を含む選手強化となると相当大きな金額が必要。
だから、全国高体連の試みを応援したい。
◇残念な甲子園大会
スポーツビジネスは、チケット販売・物品販売・広告看板・テレビ放送・ロゴの品化・著作権・
商標権を組み合わせたスポンサーシップなどが順次加わる形で進化してきた。
スポーツ組織や団体の運営・管理の視点で言うと、プロとアマチュアの違いは、得た収入の
配分システムの相違に尽きる。
米国の例が分かりやすい。プロリーグはコミッショナー事務局と球団が稼いだ収入を、
利害関係者である球団(経営者)と労働者である選手に分け合う形を取っている。
一方、アマチュア組織の場合、収入を得る手法はプロと同じだが、配分となると、
選手に給料を分け与える必要がないので、選手が所属する学校や団体に還元したり、
選手強化支援はもとより、スポーツ普及や振興に戦略的に費やされることになる。
日本もアメリカに倣い、アマチュア競技でもチケットや広告から収入を得て、スポーツを
する人たちのための環境整備に費やすべきではないだろうか。
だから、全国高体連はゼッケン広告にとどまってはいけないし、野球の高野連は収入増大に
もっと積極的であってほしい。
たとえば、夏の甲子園。高野連と朝日新聞が公表している第91回大会の収支決算によると、
収入はチケット約4億2000万円。総経費約4億500万円を差し引き、約1500万円の剰余金。
この利益は野球振興などの補助金に使われているが、
夏の甲子園は、大会期間中延べ80万人を超える入場者があり、テレビ観戦者数は数億人に
達する。まさに国民的イベントだ。だから、スポーツ経営の視点に立てば実にもったいない。
◇メダル獲得数が象徴
なぜ、チケット売上が唯一の収入項目なのだろう。アマチュアリズム順守とも思えない。
なぜなら、チケット販売も商行為だからだ。チケット販売は良いが、看板広告、さらには、
スポンサーシップは駄目だという根拠が分からない。
高野連もプロ同様権利の現金化に努力すべきである。
大いに稼ぎ、そのお金を普及と振興のために大いに散じることを勧める。
収入に貪欲な米国のアマチュア組織のビジネス部門は、スポーツビジネスの専門家で
占められている。彼らはプロ並みに稼ぎ、そのお金は施設充実や選手強化に使われている。
トップ選手を数多く育てるためにも、また、スポーツ産業の拡大のためにも、アマチュアの
スポーツ組織も米国並みに稼ぐ必要がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
さすが大坪教授、いつもズバズバ斬り込んでいます。
おっしゃる通りでございます。
アマチュア界では、スポーツと金を結び付けたくない美談傾向があり、
それでいて、選手の資金不足がキチンと表面化されない。
(確か、五輪はアマチュアという位置付けだったはずだが(笑))
五輪クラスでさえ、スポーツと金を離して考えるのが正しいという方もいる。
(五輪自体が、相当なビジネスになっているというのに(笑))
選手の現場を考えると、
上記の学生スポーツに限らず、アマチュア全体で、お金が回る仕組みが必要。
協会や連盟がそれに努力するのは当然の話だし、
それ以上に、選手単体に金が回る仕組みが必要。
でなければ、更に進む少子化で、
スポーツで喰っていきたいというアスリート自体がいなくなりますよ。
そうなると、国家戦略として、税金という話がまた持ち上がってくるのだが、
国費を使う前に、スポーツ界自体が金を生む事はできますからね。
大坪教授のお話は、全ての場に言える事と思います。
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