■ソース(週刊ポスト2012年8月3日号)
http://www.news-postseven.com/archives/20120728_132408.html
■概略
バタフライ松田丈志 引退覚悟で500社にスポンサー依頼手紙
高速水着問題に揺れた2008北京五輪で、スピード社水着を着て200m
バタフライで銅を獲得したロンドン五輪競泳日本代表主将の松田丈志(28)だが、
この4年間、周囲の状況に翻弄され続けた。
2008年末に所属していたミズノと契約満了。直後にレオパレス21と契約したが、
金融危機による同社の業績悪化によってたった1年で契約が終了し、
久世由美子コーチとスポンサー探しに奔走することになった。
「当時、松田選手はスポンサー支援を依頼する手紙を約500社にも出した
といいますが、そのうちの1社が弊社でした」と語るのは、現在所属先である
コスモス薬品の経営企画部・柴田太氏。
九州中心に457店ドラッグストアを展開する同社は、社長が松田と同じ宮崎県
延岡市出身で、約10年前まで本社も延岡にあったが、
スポーツ支援の経験はなく、毎週の商品チラシ以外に広告宣伝費は使わない方針。
企業規模から考えてもすぐに両手を挙げて応援とはいかなかった。
「縁あって何度か連絡を取るうちに“まだスポンサーが決まっていない。
毎年恒例の7月の高地トレーニングも、今年は資金不足で行けなかった。
このままだと引退もやむを得ない”という切実な話を聞きましてね。
そういう事情なら私たちが支援しましょうと申し出たんです」(柴田氏)
松田と久世コーチの年間活動費のほか、海外遠征に持って行く食品や飲料を提供。
契約には何の条件もつけていないが、松田は大会後に必ず同社を訪れてメダル報告を
してくれるのだという。
「契約してからの彼の活躍が目覚ましいので、社員にとってはいい刺激になります。
7月末までメーカーさんとの協賛で松田選手の応援キャンペーンもやっているんですが、
通常の販促企画の1.5〜2倍の反響があるんですよ」(同前)
コスモス薬品以外にも宮崎県内の企業12社でつくる応援スポンサー会が
2010年12月に発足し、松田の活動を支えている。
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この記事には、ブログ読者のマイナー競技・アマ選手に参考となる事が4つある。
@1つは、黄色部分。
500社に手紙・・・手紙よりももっと猛者はいる。
実際に500社にドアノックしたレーサーがいる、飛込み営業で、、、、
競泳はTV中継競技であり、五輪競技であるから、まだマシな方。
TV中継無し競技や、非五輪競技選手の方がもっと苦労している。
(別に松田選手をどうこう言うのではなく、スポンサー獲得活動の一般論)
アスリートの中には、手紙で陳情・懇願するケースは意外と多い。
確かに、それで経営者の心に刺さるケースもある。
手紙懇願の成約率は非常に低い。
それでも松田選手は成功させた。
しかし、1/500=0.2%である。
ぶっちゃけ、非効率と言わざるを得ない。
しかし、アスリートはそれ以外の手法を知らない。
本来は、コーチ・協会・JOCが指導するべき。
時間と労力を削減するには、やはり、
プロフィールで「陳情」するのではなく、セールスシートで「交渉」した方が早い。
確かにコスモス薬品社長のような神様は、日本にも存在する。
但し、それを求めて待つ、又は時間の掛る手法で探すよりも、
戦略的な手法で攻める事を推奨する。
結果的に、その方が成約率が高い。
Aもう1つはオレンジ部分。
協賛金を寄付金と勘違いしているアスリートは非常に多い。
極端な話、寄付金は頂いた時点で御礼をすれば済む。
協賛金はリターンを返す事が前提だから、御礼だけでは済まない。
先行で協賛金を振り込まれて、その後は音沙汰無し、スポンサーメリット不実行、
という選手は意外といる。
寄付金でも、協賛金なら尚更、出資者との関係を良好にすべき。
スポンサーシップはビジネスだからこそ、具体的なメリットをリターンするのは当然、
選手の人間性もその根底に問われる。
(だからこそ、寄付金が単発的になりがち・・・・これは別機会に述べる)
不義理・不仁義な選手は、継続的な支援は無理。
ビジネス的にも、人的にも、社会(出資者は勿論、ファンも含む)との接触を
うまくこなした方が、今の時代を生き残るアスリートとなる。これは断言できる。
そこに、五輪競技も非五輪競技も関係ない。
プロ・アマも関係ない。
戦績上位も下位も関係ない。
多くの人々が(なんとスポーツ関係者さえも)、戦績上位でなければ協賛獲得は無理、
と勘違いしている。
それは、企業スポンサーが何を求めているか、ビジネスの根本を認知していないから。
そして、そのモノサシが「広告効果」であるから。
スポーツが広告モノサシで語られ続ける限り、
メディア露出の高いメジャー競技やTOP選手しか協賛を受けられない、という事になる。
企業は広告を求めているのだろうか?
いや、企業は広告の先を求めている。
それは売上(業績)である。
つまり、広告とは違う手法でも、結果的に売上貢献できるなら、企業は財布の紐を解く。
ここを交渉ポイントにする事は、ビジネス協賛なら常識。
なぜ、スポーツ協賛はそうならないのか?
そうならない、ではなくて、そう交渉していないから。
いずれにしても、寄付金でも協賛金でもいい、
人様から御金を出資して頂いたら、不義理はダメですよ。
松田選手のように、きちんとした対応をしなくちゃね。
(こんな簡単な事でさえ、不実行の選手は非常に多い。
目の前の金さえクリアしたら、頂けた企業に不義理で、次の企業にペコペコする
選手がいるのは悲しい。
そういう事が、アマ選手のスポンサー獲得の全体成約率を低めている。)
Bもう1つは赤部分。
前述したように、広告以外で売上貢献することはできる。
キャンペーン参加という手法は、いろいろな策のOne of themに過ぎない。
つまり、マイナー競技アマチュアの戦績下位の選手でも、
何かしら、企業売上に貢献できる手法があるという事。
これに気付いていないスポーツ関係者も多い。
その組み立て方ができないスポーツ関係者も多い。
だから、資金難のアスリートは、そこをちょこっと学ぶ事で、資金調達が改善される
可能性を秘めている。
いや、可能性ではなく、それで成約させた選手は何人もいる。
夢物語じゃない、現実化できますよ。
Cそして、オレンジ部分。
以前にも述べた後援会ですね。
作り方がわからない選手には、成功例を交えて個別で教えます。
個人選手でも地域密着であれ。
更に、人密着であれ。