http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=60410
■概略
NPOエバーラスティング・ネイチャー(以下、ELNA))は、フリーダイビング競技4種目で
日本記録を保持する世界ランカー(2010年7月現在、3種目統合で世界3位)の
平井美鈴選手(6月30日〜7月10日:沖縄で世界選手権出場中)とスポンサーシップ締結。
地球環境保護というマクロな課題において、陸上が主にクローズアップされる中で、
二者の共通フィールドである「海」の環境保全活動を社会訴求する事を目的に、
『Marine Action』と名付けた海洋保全PR活動をスタート致します。
これを機会にELNAは、平井選手の海に対する敬意を支持し、競技費用をサポート。
ELNAはNPOという性格上、事業資金に余裕がある状況ではありませんが、
海洋保全の社会訴求を重視して、海中の世界を肌身で感じる平井選手を
Socialメッセンジャーとして起用します。
NPOと環境意識の高いアスリートのスポンサーシップは珍しく、
スポーツ支援の新しい事例になる事も期待されます。
※ELNAとは・・・(http://www.elna.or.jp/)
アジアの海洋生物、及び、海洋環境保全を目的に、1999年に設立されたNPO団体。
小笠原諸島・関東周辺・インドネシアの海をメインフィールドに、ウミガメ生態調査や
保全を中心とする活動を展開中。国内外の公的機関からの調査等も受託。
※平井美鈴とは・・・(http://mimidive.com/)
元々は泳ぐ事ができなかったが、小笠原でイルカと泳ぐ知人の姿を見て感銘し、
2003年にフリーダイビングをスタート。以降、競技歴6年で日本記録を樹立した
トップアスリート。今や、女子・世界ランカーとして、世界の頂点を目指す。
※二者で行う海洋保全PR活動=『Marine Action』の内容抜粋
(http://marine-action.com/)
・平井選手は、ELNA活動(ウミガメ保全・調査、海洋保全訴求)に参加・協力しつつ、
海洋保全に関する専門知識を習得
・平井選手は、ELNA活動と海洋事情を、Socialメッセンジャーとして国内外の
市民・メディアにPR(フィン・ロゴ掲出、サイト開設含)
・ELNAは、ブランドキャラクターでもある平井選手に海洋保全の情報を提供し、
PR機会作りを共に推進
・その他
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press-elna.pdf
これは意味が大きいです。
余剰金のある企業がスポーツ・スポンサーシップを控える中で、
なぜ、資金に余裕がある訳ではないNPOが、
アスリートの協賛を行なうのか?
それはまさしく、スポンサーシップの原点。
両者の狙い・目的・方向性が合致した時に、その費用対効果が見えた時に成約する、
根本が追求された形とも言えます。
そこに株式会社も特定非営利法人もない。
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日本では、NPOはボランティア団体という誤解が、まだまだあると思います。
現実的には、一事業体で、ボランティア団体とは意味が異なる。
日本のNPOの収入源は、まだまだ寄付収入が多いですが、
寄付収入だけでは回せませんよ。
USA等では、事業収入がNPOの収入源という感覚が当たり前だし、
金が国から降ってきたり、人々からの善意を待っていたり・・・
それでは運営が回らない・・・だから、気軽に作れるNPOは増えているが、
一方で、資金不足で潰れていっている。
こういった日本のNPO事情の中で、上記ELNAも金に余裕がある訳ではない。
10年前辺りから、エコという言葉が一般化し、
どちらの企業さんも植林、植林という中で、
着実に海の中での環境変化が進んだのは事実。
日本語でも、「水に流す」という言葉がありますが、
この語源は、「臭いものにはフタをしろ」ではないですが、
川や海に捨ててしまえば終わり・・・ということらしい。
つまり、川の中や海の中は、見えないものだから「二の次」という訳だ。
だから、見えない海の中よりは、見える地上の植林の方がわかりやすい。
わかりやすければ、企業ブランディングも作りやすい。
だから、ほとんどの企業は陸上の環境保護に走る。
私自身、CSR系の仕事をしていた時に、多くの経営者に海洋保護を訴えた。
しかし、わかりにくいという理由で、ほとんど断られた経験がある。
「岩田さん、どこの企業も植林だから、うちも植林で行きますよ」
「いや、社長、こういう時こそ、差別化ブランディングでしょ、
海の中はこのような状況ですよ。御社も水関係企業だから、関係有りですよね・・・」
「うーん、そうは言ってもねえ」・・・
この繰り返しで、自分のプレゼンの無さに泣けてきた。
こういう訳で、海洋保護を急がなければいけない・・・というのは10年以上前から
認知していましたが、その間、海のCO2吸収量や海流変化や生態系変化は
大きく変わってきてしまっている事実。
ELNAは、早くそれらを社会訴求しなければならない。
チームマイナス6%等もあった、他のエコプロモーションもあった・・・
税金が使える事を羨ましいと思った時も有りましたが、
まあ、今更、国の話よりも、小さくても民間がやればいいと思う。
そんな時に、今、沖縄で世界選手権に突入したフリーダイバー平井さんである。
深い海の中は、宇宙空間のようだという。
海の温度、匂い、肌感を、海という生き物として捉えている。
海を語るには、魚にしゃべってもらった方が早い。
しかし、会話ができないので、平井さんが魚や海の代弁者となる。
単なる「想い」ではダメ。
現実をわかりやすく社会訴求する必要がある。フリーダイバーだからこそできる世界。
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そう、フリーダイバーとは一アスリート。
NPOが環境保全訴求をする為に、アスリートに投資した形となる。
でかいNGOが、金を使って広告塔タレントを立てる事もあったが、
今回のケースは様相が異なる。
タレントの場合、特に海外では、テーマに関心あるタレントが、
真にボランティア出演するようなケースもあるが、
キチンとギャラが支払われるビジネスである事も多い。
NGOサイドから依頼する場合は、一ビジネスでしょ。
ELNAと平井さんのケースも、確かにスポンサーシップだからビジネスである。
ただ、広告塔というケースとは異なる。
両者の想い・Visionが海の環境保全。
平井さんは、競技資金サポートと受けると共に、その分を競技活動を通じてPR。
ELNAは、平井さんのスポーツ場面で、少しでも国民の関心を広める機会を得る。
ビジネスであり、ビジネスでない。
表現が難しいが、そこにスポーツが絡む事には大きな意義がある。
スポーツのこの先は、不景気が続くほどに、その価値が問われてきている。
税金投入もしたくない、企業もスポーツに金を払いたくない、
費用対効果も不明だ・・・と言われる中で、
総合型地域スポーツクラブだとか、スポーツ庁だとか言われているが、
企業資金も税金も頼れないならば、個人の財布しかないのは当然であり、
そこに価値が無ければ、皆、金が無い中で、個人が財布を開く訳が無い。
だから、スポーツは、もっともっと価値を上げる為に、
社会密着が必要だと考える。
たまたま、このケースは「環境」。
環境以外にも社会的課題は多いのだから、スポーツがそういう現場に入っていき、
その課題解決に関与する事が期待される。
究極を考えれば、minで人間の必要とするものは衣食住がスタートになる。
スポーツが無くても、人間は生きられるかもしれない。
まあ、これは極端な話だが、スポーツが必要不可欠になるにはどうするべきか?
イギリスでは、その答えを教育と関連付けて、高額な税金を予算化。
日本ではどうか?
狩猟民族では無く、農耕民族だからこそ、繋がり合いのポテンシャルは
DNAに入っているはず。(コミュニケーションが無くなっている時代だが)
そこに、スポーツを引き合いに出して、
社会的課題に、スポーツは必要・・・という具合に導けないか?
時間はかかるだろうが、NPOがスポーツに協賛するという、
ちょっと不思議感を伴うこの事例が、闇を切り裂くヒントになる可能性がある。
スポーツ・スポンサーシップを専門としている当方にとっても、
1つの大きな事例にカウントしている。
FCバルセロナが、Unicefから協賛金を受けるのではなく、
逆に、大きな寄付金を支払っている形・・・・これも衝撃だった。
F1ホンダのアースドリームの、ロゴ無し協賛も、意味があった。
そう、これらのケースも、今回の平井さんのケースも、
これまでのスポンサーシップの常識を超えたポジションにある。
マーケティングという一言で括りたくない。
評論家が言うのは簡単だが、現場はそんな簡単ではないし、
浅はかでは無く、細かいシミュレーションがなされている。
短期的ではなく、中長期的な開発性があって良いと思う。
この先、資金難のアスリートが、地域のNPOにボランティアだけではなく、
互いに資金確保ができるプログラムを提案したり、
そんな時代が来るかもしれない。
社会問題解決のプロ=NPOと考え、スポーツがその伴走役になる。
メディアが取り上げるべき、新しいスポーツの道の1つともと考えられる。