■ソース
http://www.yomiuri.co.jp/column/kenkyu/20100324-OYT8T00323.htm?from=navlc
■概略
バンクーバー五輪スケート競技で銀メダルの田畑真紀、穂積雅子選手が所属する
富山市の地質調査会社「ダイチ」は、資本金3000万円、社員39人の小さな会社。
災害防止・復旧工事が専門だが、公共事業の削減に伴って売上高は10年前の20億円
から9億円に減少。それでも、「税金事業で仕事を頂いているので、地域に貢献したい」と、
会長、社長親子が自らの報酬を削ってスケート部を守ってきた。
メダル獲得後、同社には激励のファクスやメールが殺到。
仕事の注文が舞い込むといったことはないが、「社員の士気は上がった。
これまで以上に気を引き締めて仕事に取り組もうというムードになっている」という。
数字で測ることができないメダル効果は大きい。
長びく不況で、スポーツから撤退する企業が相次いでいる。
ICTスポーツによると、98〜02年に約220の企業チームが消滅。
その後、撤退はやや落ち着いたが、リーマン・ショック後再び加速し始め、
08年には8チーム、09年には24チームが休廃部を決めた。
09年末で休部となった日産自動車の野球部は、99年、日産が経営不振に陥り、ルノーと
提携した際にも存続が危ぶまれた。しかし、ルノーから乗り込んだカルロス・ゴーン氏が
実際に試合を観戦し、社員一体となった応援に感銘して、「これは日本の企業文化の象徴」
と継続を決めた経緯がある。
株主資本利益率(ROE)が重視される上場企業では、企業文化とか社員の士気とか、
数字に表れないものを守るのはますます困難になっている。
日本型資本主義の特徴のひとつは、社会保障に対する国の関与が極めて小さいことだ。
日本の国内総生産(GDP)に対する社会保障支出の比率は、かろうじてアメリカは
上回っているが、西欧諸国にはとても及ばない。
宮本太郎・北海道大院教授によると、これは、企業が男性稼ぎ主の雇用を守ることによって、
国に代わって生活を保障してきたからだ。人材確保が最大の課題だった高度成長時代には、
これは企業にとってもメリットのあるシステムだった。
安定雇用と福利厚生の充実に努め、企業スポーツに力を入れることによって知名度UPと
社員の士気の高揚を図る……。
ところが、企業に余力がなくなり、政府のセーフティーネットが無く安定雇用が崩れた為、
貧困と格差が広がり、企業頼みのトップアスリート育成も大きな壁にぶつかった。
社会保障の分野では、国の役割を再定義しようという議論が進んでいる。
スポーツの分野でも、金メダルゼロに終わったバンクーバー五輪の結果を受けて、
政府は長期的な「スポーツ立国戦略」の議論を始めた。
3月10日に開かれた第1回ヒアリングでは、スポーツ庁の創設や引退選手支援など
様々な意見が出たようだが、ポイントは「税金をつぎ込んでトップアスリートを育成する事に、
どこまで国民の合意が得られるのか」という点に尽きるだろう。
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アスリートの企業への寄与の1つとしての、ブランディングの一環ですね。
外からの見方が変わると、内部は奮起する・・・企業のインナー効果の1つとも言える。
もっともっと大手企業が、アマチュア支援をするべきだが、
ROE 、ROIなどの重視で、ブランディングさえも後回しになってきた・・・
いや、逆に、ブランドは業績に繋がっているという事を、
もっと多角的に検証すれば、その意義は高まる。
そういったリサーチをしている機関は多いが、
まだまだ社会認知も企業認知も低い。
実業団を手放すのも、経営上、わかる。
が、中小企業や零細企業も頑張ってサポートしているので、
雇用は無理でも、協賛に変えて維持する形をもっと強めるとか、
国が税制優遇する仕組みを作るとか、
大手のスポーツ絡みを維持・助長する仕組みも必要。
又、上記記事のような中小企業に、
入札時のポイント付加など、
CSRを考慮した公共事業優遇制(コンペ・入札時)を作るとか、
大手よりも大変な中小企業がスポーツを支援する所に、優遇制を作るべき。
無理に税金投入しなくても、できる方法は色々あると思う。
スポーツ界を整理するには、スポーツ省は必要。
しかし、そこで、また利権が発生して、無駄金が発生するなら、
スポーツ省など必要ない。