■ソース(2009年12月23日・朝日新聞)
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200912230176.html■概略
政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で、スポーツ関連予算約59億円が縮減と判定。
選手強化の為のJOCへの国庫補助金約27億円も含まれる。仕分け人となった
元横浜市職員の南学・
横浜市立大エクステンションセンター長と、
選手強化にあたる市原則之・JOC専務理事に、それぞれの立場から語ってもらった。
事務費を減らせ、スポーツ予算
(横浜市立大エクステンションセンター長・南学氏)◇予算縮減の結論をどう思うか。
南・・・漫然と事業を続けてはまずいとの意識があり、当然だと思う。国費、
スポーツ振興基金、サッカーくじ(toto)があり、助成先が重なり、
どこを焦点にお金がどう使われているのか不透明だと感じた。
仕分けはスポーツ政策を考える契機になった。
◇ボブスレー、リュージュなどマイナー競技の補助が必要なのかと発言した。
南・・・文部科学省はメダルが大事と言う。それなら取れそうにないものに
なぜ配っているのか、成果はあるのかと聞きたかった。
メダルが国民の望みなら税金投入も必要だが、税収が限られているのなら
競技も絞らざるを得ないし、
メダル獲得の可能性が配分基準だろう。
払っている強化費の意味は何なんだと。
◇そうした競技への補助を減らすべきだと?
南・・・強化費の前に、事務費を減らせばいい。今の重層的事務機構は無駄が
多すぎる。
事務を合理化すれば、強化費は減らさずにできるはず。
◇競技スポーツへの税金投入をどう考えるか。
南・・・選手強化は単に国威発揚に過ぎず、裾野拡大に繋がらなければ意味ない。
裾野を広げる
戦略があれば、マイナースポーツに配って問題ない。
JOCはそうした道筋を描いて世間に発信するべき。
国費を自由に使えるという発想ではなく、強化にどんな事が必要で、
お金がいくらかかると国民に説明しないといけない。
切り捨てないで、スポーツ予算
(JOC専務理事・市原則之)◇選手強化の面では厳しい結論が出た。
市・・・国家財政が厳しい中、無駄を省くのはいい事だが、一刀両断にされた。
基金、totoとの重なりが言われているが、国費だけでは強化費が足りないので
この二つを作ったという事情を分かってもらえなかった。
◇メダルの望みが薄い競技に補助が必要なのかと議論になった。
市・・・悲しい事だ。スポーツで心身を鍛え、国際交流や世界平和を目指す五輪は、
単にメダルを目指すだけではない。弱いからといって切り捨てず、むしろ
そうした競技こそ振興させなければいけない。
仕分け人には、個人の趣味の延長に国費を出すのかという問題意識があった
ようだが、世界で戦う選手には義務感がある。
◇選手強化費は聖域と主張している。
市・・・スポーツを国策とし、子供の教育的効果、国民の健康増進で医療費削減等の
国益がある。競技力を高め、勝つ事で世間が関心を持ち、底辺が広くなる。
◇税金を使ってスポーツをする意義を国民に説明すべきだとの意見がある。
市・・・素直に反省している。スポーツは国民の理解を得られるオールマイティーな
ものと思っていたが、自己満足に過ぎなかった。
失敗した2016年東京五輪招致で、世論の支持が56%しかなかったのがいい例。
スポーツ界も改めるべきところは改めないといけない。
JOCでも無駄の洗い出しに努める。
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今まで、途切れ途切れの情報しか報道されなかった、スポーツ予算・縮減に関して、
仕分けする側とされる側の意見が、よくわかる上記のような記事が出て、
非常に話がズレている点が浮き彫りにされました。
まず、文科省とJOCは一体的考えを持っているはずが、
この時点でズレていますよね。
文科省は、メダル獲得の為に選手強化費の重要性を押している一方で、
JOCは、メダルだけでなく、スポーツの意義を押しているように受け取れます。
現場にいなかったので、詳細やニュアンスはわからないにせよ、
メダル重視の考えなら、メダルが取れそうにないマイナー競技は切れば?という
仕分け人の言葉が出て当然です。
強いスポーツ国を作る為に金をくれという発想ならば、
国民は、仕分け人と同じ意見を持つ事でしょう。
仕分け人はマイナースポーツの敵・・・というような報道もありましたが、
そうではないですね。
マイナースポーツなんかに金を使うなという思考ではなく、
予算全体の無駄を排除せよという大きな方向性の中で、
強化費を落とさずに、他のリストラクチャリングができるはずでしょという話。
そりゃあ、当たり前ですよね。
某選手の例を出せば、
海外遠征の際に、電車・バスで空港に向かい、エコノミー搭乗する一方で、
協会役員は、黒塗り&ファーストクラスorビジネスクラスというのはおかしいでしょ、
といった所に、削減はいくらでもできるはず・・・との意見が出て当然ですよね。
ちなみにその選手は、メダルを獲った後は、ファーストクラスで帰国したようですが。
これも、南氏の言う、削減すべき事務費の一環ですよね。
本来、選手の強化費そのものに使うべき税金が、
その周辺の間接費に多く使われている・・・
ここが事務費という表現で言う所の、改革ポイントになるのは当然。
南氏は、キチンとした戦略を持って対応すれば、税金投入の価値有りと判断しています。
賛成。
某競技では、根拠のないファン獲得数を目標にしていて、実行プランも無い。
見る人が見れば、全く達成できる訳がないものと、即判断できる。
こういうファン獲得策も、一プロジェクトとして、予算計上されているのだから、
無駄と言われて然りです。
今、自分もスポーツ事業を行っており、
マイナー競技選手の資金調達サポートというテーマを持っているので、
そういう点では、税金をもっと使えるようになってほしい。
しかしながら、しがらみが無いから言えるのだが、
仕分け人同様の意見である。無駄が多い。
あるスポーツ団体には、自動的に補助金が降ってきて、
内部人材は、この金は何に使おうか等と、寝ぼけた事を言っている。
こういう裏側が1つでもある限り、
仕分け人を口説く事はできない。
仕分け人というよりも、全国民に納得してもらえる訳がない。
今回は、スポーツ界の膿を出す、いいチャンスをもらったと、
スポーツに関わる者が全員、再考するべき。
それが現実的な、時代背景、社会情勢を配慮した、
新しい、進むべき方向なのだと考える。
スポーツに関わる事業者が、もっともっと発言すべきだが、
あまり声が聞こえてこない。
お仲間意識でスポーツ事業をやっていると思われても仕方ないのでは。
どの業界でも、改革が起っている。
スポーツ界も改革しなくては、本当に、時代の波に流される。
選手強化費を削減するのではなく、
周辺間接費をまずカットする・・・これは可能なはず。
一度、振り出しに戻して、
全てを再構築するべきではないか。
選手を使って、陳情的に見せる手法は、社会や時代に通用しない。
選手が可愛そうである。
削るべきは、選手強化費そのものではない。
身を削る努力をした後で、
真に金がない・・・じゃあいくら必要か?
どのように得るのか?税金か?それ以外か?
こういう事を徹底的に詰めた後で、初めて陳情スタイルが活用されるべき。
当然、税金以外の予算調達法を、
JOCはもちろん、各協会・連盟が徹底的に行うべき。
posted by sports777 at 13:15|
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