http://diamond.jp/series/sports_opinion/10049/
■概略
チームがないのは、わずか11県。急拡大した「地方プロチーム」は本当に根付くのか
(企業スポーツ崩壊が後押しした、プロスポーツの地域密着型)
◇野球の独立リーグ、バスケのbjリーグで地方のプロチームが続々
05年に四国で「アイランドリーグ」が誕生。08年からは四国・九州アイランドリーグへ。
07年に新潟・富山等で「北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)」が誕生。
09年は「関西独立リーグ」開始。又、05年にはバスケット「bjリーグ」が生まれた。
◇厳しい財政状況で選手にしわ寄せも・・・
J2昇格チームも、独立リーグも、bjリーグも財政状況は厳しい。
J2とbjの平均的選手の年俸は300万円程。独立リーグ選手は15〜20万円程の月給。
シーズンオフにはアルバイトをしなければ生活できないといわれている。
◇地方チームの希望の光、常識を覆したアルビレックス新潟の成功
Jリーグはプロ野球同様に、チームは大都市圏か、都市圏から日帰り観戦できる場所に
限られていたが、J1・アルビレックス新潟をきっかけに全国各地にプロが存在する事に。
新潟はウインタースポーツしか強い競技のない県なので集客が心配されたが、
地域密着の地道なPRや営業活動が実って、多くのサポーター・ファンを獲得。
4万2千人収容のスタジアムはほとんど毎試合満員で、浦和レッズと並ぶ観客動員力。
新潟の成功は、「地方都市ではプロチームは成り立たない」という常識を覆した。
いまやプロスポーツは、「地域密着」でなければ成立しない構図が生まれつつある。
◇“企業ありき”から“地域密着”へ地方にプロチームは根付くか?
Jリーグ17年、独立リーグやbjリーグが5年足らずで、各地に多くのチームができて大丈夫か。
例えば富山は、人口111万人は都道府県で38位なのに、3つのプロスポーツチームがある。
06年bjリーグの富山グラウジーズ、07年BCリーグの富山サンダーバーズ、
今年J2昇格のカターレ富山。
限られた人口で3チームが収益が上げられるのか、つまり観客動員を確保できるのか。
全国各地にプロスポーツチームが生まれるのは“時代の要請”ともいえる。
大不況で、企業スポーツは休廃部に追い込まれ、企業経費での運営が難しくなっている。
代わって生まれてきたのが、自らスポンサーを集め営業努力をして運営するプロチーム。
今はその流れで運営に奮闘しているが、採算が合わず、立ち行かなくなるチームも出てくる。
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地域密着クラブチーム化は、
経済不況をきっかけとした企業スポーツ依存からの脱却という時代の流れ、
又、人の好みの多様化、生活状況の2極分化なども影響して、避けられないというか、
自然な流れで、今後も確実に増えますよね。
国も奨励しているし。
欧州に学ぶ、このスタイルは、スポーツの持続可能な運営・繁栄を考えれば
理想である事は間違いありません。
地域に支えられるスポーツ、地域に還元するスポーツ・・・この追求が重要。
企業CSRに絡めれば、寄付金や社会貢献費という、
これまでの協賛費とは科目の異なる支援を得る可能性も増える。
しかしながら、上記記事通り、深く注意しなければなりません。
ファン獲得面、スポンサー獲得面でバッティングするのは避ける事ができないでしょう。
それは、プロ・アマ関係なく言える事です。
地元地域民はかなりシビアに監査する日が来ます。
地域密着と謳えば謳う程に、その真価が問われます。
地元活動に参加すれば、又、地域キッズに競技指導すれば地域密着です・・・
等というような簡単なものではないですし、
そこに信用・信頼・感動などの共感が生まれないと、人は動かないケースが多い。
98年にNPO法ができて、今や3万団体以上が認証されて、
寄付金に頼る団体が数多く消えて、将来の寄付金確保の争奪から、
淘汰の時代が来る事と、上記の地域クラブの話は似ているように思います。
運営体制は、株式会社でもNPOでも何でもいいのですが、
欧州のように、地域民からのクラブ会費だけで運営をまかなうのは
かなりの年数が必要ですし、結果的にスポンサー企業の支援は絶対的に必要。
(クラブ化によって、複数スポンサーを獲得して良い点はメリットになるはずですが)
国は今後も成功例を示して、拡大を推奨していくのでしょうが、
これ以上の拡大には、かなりのリスクがあるのではと思います。
98年後のNPOは、認証数が増えているが、一方で消滅数も増えているのと
同じ道を辿らないでほしいと思います。
今後ますます、ファン(会員)獲得策・スポンサー獲得策が追求される時代になるでしょう。
それも競技同様に、勝負の世界だと思います。
(地域密着クラブ化が悪いと言っているのではなく、指導・指針・支援体制を早く
追従して整備しないといけないはず・・・という、1つの考えです。)