http://www5.nikkansports.com/sports/motor/kawakita/entry/20090228_75689.html
■概略
琢磨は資金難でシートを獲得できなかった
相変わらず暗いニュースばかりが続くニッポンのモータスポーツ界。
2月6日にはトロロッソからの参戦を狙っていた佐藤琢磨がF1カムバックのチャンスを失った。
昨年から3回にわたりトロロッソのテストに参加し「そのスピードと献身的な態度でドライバーと
しての価値を証明」(個人マネジャー)にも関わらず、琢磨がシートを獲得できなかった原因は、
ライバルであったセバスチャン・ブールデとの「持ち込みスポンサー獲得競争」に
敗れたからだと琢磨のマネージメントサイドが認めている。
ちなみに今のF1界「ドライバーとしての実力だけ」でシートを獲得できるのは一握りだけ。
チームが必要とするのは「ある程度実力があって、十分なスポンサーを持ち込むドライバー」。
で、僕が何を言いたいのかと言えば、あまりに冷たすぎる表現かもしれないが、
こういう結果に終わったのは琢磨の陣営が十分なお金を集められなかったから
であり、それ以上でも、それ以下でもないというコトだ。
もちろん、琢磨が日本のモータースポーツ界でかけがえのない財産である事は言うまでもない。
だが、モータースポーツ発祥の地であり、かつてはF1に一時代を築き上げたフランスにとって、
現状、セバスチャン・ブールデが唯一のF1ドライバー候補であることを考えれば、ブールデの
去就はフランスのモータースポーツ界にとっても大問題なのだ。
そして、最後はフランスが競り勝った…。ふたりともこの不況の中でスポンサーを集めるのは
大変だっただろうが、特にモータースポーツに対する強烈な逆風が吹き荒れる
日本で資金集めをしていた琢磨は辛かっただろう。
30億とも、35億円とも言われるスポンサー資金を今の日本で集めるのは並大抵のコトではない。
琢磨の陣営が金策に走り回ったであろうニッポンの社会に、フランス社会ほどの包容力は
残っていなかったということか? いずれにせよ、コレで琢磨は厳しい状況に追い込まれた、
琢磨のように強烈なキャラクターを持った日本人ドライバーは、めったに現われるものではない。
何とかF1で生き残って欲しいのだが…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく金額が大きいだけに、
ターゲット企業が絞られる訳で、
しかも、日本経済界では、モータースポーツの広告価値が落ちている中でしたから、
琢磨サイドに取っては相当きついスポンサー獲得活動であったはず。
無論、国内企業に限らず、グローバルに交渉はしたと思いますが、
その手法がどういうものだったのかも気になります。
分厚い写真アルバムのような企画書、
イメージとリーチだけを伝える映像プレゼン、
そもそも、景気の良い時代に、それらで数十億が成約できた事自体がおかしい。
払う企業サイドも、明確な検証の元に成約したとは到底思えない。
メディアと代理店の仕掛けは、結果的に心理戦に引き込み、
事業戦略的な視点では非常に首を傾げたくなる内容が、現場では進められている。
これはF1に限らないが、
単独プログラムで、1億の投資で1億以上のリターンが明確に検証できるならば、
赤字企業でも、そのプログラムに投資するのは当然。
(その時点のキャッシュフローが成立できる場合だが)
その検証が曖昧で、投資金額が大きく成る程に成約率が低まるのは当然の事で、
よりROIを提示する、その保障性をプレゼンする・・・そんな傾向ができるはず。
できるはずではなく、そうしないと獲れない時代になるのは明白。
琢磨ファンなので、
機会があれば琢磨の資金調達法を見てみたいですね。
ネゴシエーター、エージェント、法務系、代理店、マネジメント会社等、
多くのプロが付いていたはず。
でも獲れなかった・・・。
そうなると、既存の戦略ではなく、
より独創的で、クリエイティブな資金調達をするしかないはずです。
どこまで貢献できるかはわかりませんが、チェックはしてみたいですね。