■ソース
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200903100008a.nwc■概略
スポーツ界は詐欺師の隠みの
巨額詐欺の疑いでSEC(米証券取引委員会)に起訴されているテキサス州の富豪、
アレン・スタンフォード氏は、クリケットの、一体何を知っていたというのだろう?
クリケットは発祥地の英国をはじめ、オーストラリア、インド、カリブ海諸島の一部でしか
親しまれていない。服装やティーブレークがスコアと同等に重視される上品な競技は、
テキサス出身者にとって縁もゆかりもないはず。それなのに、スタンフォード氏は
クリケットのスポンサーとなっていた。
いかがわしい会社や実業家がスポーツイベントの大スポンサー
になるのは、今に始まったことではない。実際、多くのスポーツ組織が
野心をふくらませた結果、詐欺師の隠れみのをつくってしまった。
金銭とスポーツは常に一体とはいえ、多くのスポーツが一獲千金を狙うビジネスマン
と結託するようになってしまったのだ。 ≪マドフ容疑者は例外≫ 過去の例を挙げてみよう。
・数年前、イタリアのパルマラット・フィナンツィアーリアのカリスト・タンツィ前CEO
は各種スポーツの後援に積極的だった。F1チームやスキーイベントに加え、
イタリアとブラジルのサッカーチームにも出資。
自社製品の宣伝のためにサッカースターのロナウド選手を雇っていたが、
粉飾決算事件で起訴され、昨年12月、懲役10年に処された。
・会計不正疑惑によって経営破綻(はたん)した米エネルギー大手、エンロンは、
大リーグのヒューストン・アストロズの大スポンサーとなり、一時、自社名を冠した
ホーム球場のライト側広告に1億ドル(約98億3600万円)を支払っていた。
・タイのタクシン元首相はサッカーのイングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・シティー
FCの会長を務めたが、汚職容疑に直面すると英国に亡命。チームをアブダビの
投資会社に売却した。
意外なことに、巨額詐欺の疑いで逮捕されたマドフ容疑者はスポーツ競技に一切出資
していなかった。だが、破綻した複数の金融企業がスポーツに大金を使っていたことは
注目に値する。
≪下心透ける応援団≫
注目するポイントは2つある。一つは、
投資家はサッカーチームのユニホーム
やF1カーの車体、ラグビーのゴールポスト裏の広告主をよく調べる
べきだということだ。もし企業がスポーツに対し、疑わしいほど巨額の投資を行って
いたら、投資家はその企業の株を売るか、ファンドから手を引いた方がいいだろう。
もう一つは、
プロスポーツ自体が疑惑のあるビジネスを正当化する手段
になってしまっているということだ。スタンフォード氏らのような人々が、自分の
好きなチームを応援するためにスポーツイベントに大金をつぎ込むなどと思ってはいけない。
時に裕福な実業家は、愛着があるというだけで地方チームに出資する。
だが、ほとんどの場合、
スポンサーシップは役員会議で話し合う以上に
冷静かつ緻密(ちみつ)に計算されている。
信頼性と社会的地位があり、アクセスしやすい分野は、詐欺師にとって最も都合がよい。
人気の高いスポーツは全てを備えている。19世紀の人々は英国の貴族の地位を買った。
21世紀の人々はサッカーチーム、F1チーム、クリケットイベントなどを買う。
いずれも理由は、手っ取り早く有力であるように見せるためだ。
ひたむきなアマチュアスポーツの式典であるオリンピックでさえ、
巨大な企業広告と大げさな国家主義を誇示する場に落ちてしまった。
≪信用を「買う」だけ≫ どこかで線を引かなければならない。選手の高額報酬が多くのスポーツ界に蔓延しており、
その支払いが多くなればなるほどスポーツ界の人々は、見せかけの社会的地位を手に
入れようとする詐欺師の手にかかってしまう。
感傷に浸っている暇はない。スタンフォード氏やタクシン元首相がクリケットやサッカーに
資金を投じるということは、信用のない者が信用を買っているに過ぎない。
スポーツは激しく、そして公正なものであるはずなのに、
多くのスポーツはそのことを完全に見失ってしまった。
競技場は、金目当ての選手ともうけ主義のビジネスマンのための
ものになっていた。
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ブルームバーグ・ニュースのコラムニストによる見解ですが、
いや〜、ここまで明確な記事に・・・ある意味、立派です。
全てのスポーツではなく、
一部の問題からの全体考察と言えますが、
その一部というのが、どの程度の範囲なのかが問題になるでしょうが。
ここで大事な事は、
以前の当ブログ記事にも書きましたが、
選手側・チーム側・主催者側が、
スポンサーを良く調べる事も重要ということ。
スポンサーから金をもらえるのであれば何でもいい等というのは、
ビジネスでは通用せず、自らのブランドを落とし、
結果的には自身が自滅するリスクがある事を知るべきというものです。
企業が取引相手を信用調査するように、
協賛金を受ける選手側(チーム側・大会主催者側)も
社会的調査が当然であるという事ですね。
広告代理店やスポーツマネジメント会社が間に入っていれば、
調査を代行するケースもありますが、
今や、財団法人でも社団法人でもNPOでも怪しい機関はあるのですから、
スポンサーシップの依頼者側の責任
(CSRに対する、
SSR=Sports Social Responsibilityとでも言いましょうか)も
問われるのが当然という事です。
スポーツに限らず、テレビCMや新聞広告に出ている企業なら安心という時代は終わり、
もちろん、広告掲載側の責任もありますが、
今の時代は、自分(消費者)を守るのは自分(消費者)。
マスメディア広告でさえ、自分自身で裏取りをしないといけない時代。
スポーツにおいては、
一昔前の財団から協賛を受けるのであれば大丈夫であろう(漢検が良い例)等の
認識は、結果的に選手(チーム・大会主催者)サイドのブランドを下げる結果に
結び付いてしまう、
故に選手側がしっかりした判断力を持たなければならない。
このような事を再認識させられる記事と言えます。